本塁打の増加に見る阪神の確かな成長の跡 和製大砲への台頭の兆しも デイリースポーツ

一瞬の静寂を生み、球場が歓喜に包まれる。悠然とダイヤモンドを回る。ホームランはいつの時代も、ファンの憧れであり、その白球に夢を乗せる。

現役だったころの金本監督の言葉を思い出す。笑顔で振り返るのは、幼少時代の鮮烈な記憶。広島市民球場に足を運び、ライトスタンドから声援を送った。

「小さいころはホームランボールが欲しくてね。毎日のように市民球場に通って応援したんよ。俺らは勝った負けた以外でも、ファンに喜んでもらいたいんよ。球場に行っとったころは『浩二(山本)か衣笠、どっちかをホームラン打ってくれ』って感じじゃったもん。打ったら負けても納得して帰っていた。『きょうは浩二が打ったけぇ、ええか』って」

広島に生まれた幼少期、カープの応援に夢中になった。三村敏之、山本浩二、衣笠祥雄…。スター選手に自身の未来を重ねた。思い出をめくれば、白球がスタンドに向かう瞬間だ。

今季、阪神の戦いを振り返れば、1つの数字が目に留まる。本塁打数だ。昨季、リーグ5位の90本だったが、今季は既に107本をマーク(※29日時点)。107本(同)で並ぶ巨人とは、抜きつ抜かれつを繰り返している。球団として、巨人より総本塁打数が上回れば、1990年(阪神135本、巨人134本)以来、27年ぶりとなる。

さらに内訳を見れば、今後に期待が膨らむ。

1・中谷 20本

2・福留 17本

3・糸井 15本

4・上本 8本

5・大山 6本

5・原口 6本

5・高山 6本

8・ロジャース 5本

9・鳥谷 4本

10・北條 3本

10・俊介 3本

12・坂本 2本

12・伊藤隼 2本

12・梅野 2本

12・岡崎 2本

16・秋山 1本

16・陽川 1本

16・キャンベル 1本

16・メッセンジャー 1本

16・大和 1本

16・糸原 1本

外国人選手の本塁打は、106本のうち7本である。ここに賛否はあるかもしれないが、生え抜き右打者では06年の浜中治(現2軍打撃コーチ)以来、11年ぶりのシーズン20号を達成した中谷を筆頭に、大山ら和製大砲となるべき若手野手の台頭もあった。金本監督の就任2年目シーズン。「超変革」から、「挑む」シーズンの変化は、順位以外の数字でも見て取れる。平野打撃コーチが明かす。

「1位で首位打者を獲るのと、6位で獲るのとでは価値が違うようにね。数字だけでは一概に言えないけど。昨年から比べてもゲームの質や成績、内容は良くなっている。その結果の数字だと思う」

本拠地で若手は、午前中から打撃練習を始める。試合後も居残りでバットを振るのは珍しくない。気付けば日付が変わる…というのもザラだ。遠征中でもブルペンなどを間借りして、朝から指名練習。金本監督の「基礎から始めよう」を号令に、筋力、体力など振る力のレベルアップを図ってきた。地道に、地道に。同コーチが続ける。

「基礎体力作り。若い子はスイングの量も増えて、野球に対する考え方も変わってきたと思う。少しずつ、少しずつだけどね。速い球に振り負けないこと。相手の力のある球を打ち返そうというのは、監督が常に口酸っぱく言っていること。その意識が少しずつ、数字に表れているかな」

リーグ優勝は逃したが、確かな成長の跡も見える。2年ぶりのCS進出も決定。17年ぶりの“巨人超え”ならば、来季に向けた大きな弾みにもなるはずだ。30日からは東京ドームでの巨人2連戦。シーズン終了まで消化試合はない。(デイリースポーツ・田中政行)

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