阪神・伊藤隼「今まで味わったことのない最高の気分」「広島で3連敗のあとに3連勝ですし、気分よく(12日からの)巨人戦に向かえます」

(セ・リーグ、阪神7x-6DeNA、20回戦、阪神13勝7敗、10日、甲子園)プロ6年目の阪神・伊藤隼太外野手(28)が同点の九回、右越えにプロ初のサヨナラ打を放ち、3位DeNAに3連勝。2試合連続のサヨナラ勝ちで、3位に6・5差とし、シーズン5割以上を決めた。今季限りで退任する掛布雅之2軍監督(62)の一番弟子が勝負を決めた。

まるで駒のように、頭の先から地面まで目に見えない軸に沿って、くるりと体がまわった。打球はグンと伸びていき、前進守備の右翼手のはるか頭上、右翼フェンスに直撃した。プロ初のサヨナラ打を放った伊藤隼が右拳を高々と天に突き上げた。ベンチ前で金本監督に抱きつき「今まで味わったことのない最高の気分」と声を弾ませた。

「緊張しっぱなしでしたが、二死満塁で俺にまわる、という予感がありました。こういう展開でしたし、しばらく打てなかったことは逆に忘れていきました」

6-6の九回二死満塁。DeNAの6番手・三上のど真ん中の141キロをとらえた。この試合前まで11打席連続無安打だった。8月18日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、出場13試合ぶりのHランプは2夜連続のサヨナラをもたらす決着打となった。

「それまでに決まったらいいとも思っていました」と冷静だったが、打席に入れば心を燃やして、ひと振りで試合を決めた。

“恩返し”の一打だ。くしくも、この日は掛布2軍監督の今季限りでの退任が発表された。この日のヒーローはまだGM付育成&打撃コーディネーター(DC)だった13年オフからミスタータイガースの自宅でバットを振った。その後もキャンプ中にホテルの一室でマンツーマン指導など、薫陶を受けてきた。

2軍監督に就任した昨季からの2年間は身ぶり手ぶりでの指導の回数は減ったが、少しバランスが崩れているとすぐさま打撃ケージ裏から一声かけてもらった。背番号51は「やりやすい環境を作ってくれて、ありがたい」と感謝していた。

昨年春のキャンプイン直前に右肩の負傷でバットをにぎれず、黙々と高知・安芸の2軍キャンプでランニングを繰り返すまな弟子の姿をみていた背番号31はことあるごとに「やつは強いよ。精神的にさ」と話していた。練習の虫となり、超一流になった男が認める心の強さがチームを救う一打につながる。

伊藤隼は「広島で3連敗のあとに3連勝ですし、気分よく(12日からの)巨人戦に向かえます」と力を込めた。打てば勝つ。そんな場面で快音を奏で続ける。 (新里公章)

サヨナラ打の伊藤隼について阪神・片岡打撃コーチ「最近結果が出ずモヤモヤしていたと思うが、ベンチで誰よりも声を出していた。しっかり準備していた成果が出たと思う。そういう選手が結果を出してくれてうれしい」

伊藤隼と掛布2軍監督

ドラフト1位ながら伸び悩んでいた伊藤隼を13年の秋季キャンプでは宿舎の部屋でマンツーマン指導。掛布DC(当時)から伝授された脱力打法や本人がスイング時に首が傾く悪癖解消に着手。11月12日のオリックスとの練習試合(高知東部)ではソロ本塁打を含む2安打の活躍。

14年の1月下旬には伊藤隼が「ちょっと見てください」とお願いし、掛布DCが仕事先の富山県から緊急帰阪。鳴尾浜で練習を視察するなど、師弟関係を築いてきた。

http://www.sanspo.com/baseball/news/20170911/tig17091105040015-n1.html