阪神・糸井「振り抜けてよかったです。勝ててよかった」「いい感触でとらえられた。追加点が取れてよかったです」「(右脇腹は)怖さはあるけど…」

(セ・リーグ、ヤクルト4-7阪神、20回戦、阪神13勝7敗、23日、神宮)空気が裂け、時が止まる。放り投げたバットはカランカランと転がり、はるか彼方の右翼席上段では、白球がグサッと突き刺さる音が聞こえた。こんなに振れる、飛ばせるのは、復活した糸井だけだ。超豪快10号で、燕の追撃を振り払った。

 「振り抜けてよかったです。勝ててよかった」

チームにとっても大きな一撃だった。五回先頭、原樹の初球、甘く入った変化球を一閃した。自身の打球に見とれるように、ゆっくりと歩き出す。「いい感触でとらえられた。追加点が取れてよかったです」。思わず自画自賛。5年連続、プロ14年目で8度目の2桁本塁打を、超人らしいすさまじい当たりで飾り、勝利も引き寄せた。

糸井が不在の間、虎は“ベストオーダー”にほど遠かった。17日に右脇腹の筋挫傷から1軍復帰し、この日初めてロジャース、福留と3人そろって先発出場した。「1番」に入るのは6月9日、ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)以来、実に75日ぶりだった。

リードオフマンに超人を置く、相手からすればプレッシャーがかかるラインアップの復活に、金本監督も「確かにそうですね。1番打者も長打がありますから。きょうロジャースが(4番で)出たから。中谷を5番で、3番に(福留)孝介というのがリズムあるのかな、と。打撃コーチの判断で」と手応えを得たようすだった。

1番が久々過ぎたのか!? 試合前の糸井にはハプニングもあった。始球式で打席に入ると、小学生の女の子が投じたボールが、ワンバウンドで右足に当たったのだ。空振りし、ニヤニヤしながら打席から出たが、ネクストで待つ西岡に向かって足をさする仕草…。西岡に、もっと痛がったら? というようなジェスチャーで返されると、2人でニヤッと笑い合った。どうりで“当たり日”となったワケだ。

0-1の三回には同点打を放ち、福留の3ランへとつなげていた。これで先発復帰から5試合連続安打となり、5月30日のロッテ戦(ZOZOマリン)以来のマルチ打点。上り調子で、もう落ちるつもりはない。

 「(右脇腹は)怖さはあるけど…」

迷惑をかけたと自覚している分、危機感は強い。残り32試合。超人は燃え尽きる覚悟だ。(長友孝輔)