阪神・森越「後ろに糸井さん、福留さんといい打者がいるのでつなぐことを心がけました」「打撃コーチの方々とか、いっぱい、練習を見てくれたので、その方のためにも打ちたかったです」

(セ・リーグ、中日2-3阪神=延長十一回、20回戦、阪神12勝8敗、20日、ナゴヤD)古巣相手に、かつての本拠地で、大仕事をやってのけた。延長十一回先頭。若林忠志を抜き、40代最多登板を成し遂げた岩瀬にひざを折らせたのは苦労人・森越だった。

 「積極的に塁に出ることを意識しました。後ろに糸井さん、福留さんといい打者がいるのでつなぐことを心がけました」

九回から二塁の守備に入っての初打席だった。初球の136キロ内角直球に迷いなし。鋭く左前へと運んだ。2014年に中日から戦力外通告を受け、翌15年にタテジマ入り。今季6打席目、虎通算15打席目で初めて「H」ランプを灯し、鳥谷の一打で決勝のホームを駆け抜けた。

「名古屋の古巣相手に、結構打席に立たせてもらっていたので、毎回毎回、何とかしてやろうと思っていました」

プロ通算でも、3安打目。これまではグラブで生きてきたイメージが強かった。昨年9月11日のヤクルト戦(神宮)では本塁挟殺プレーを絶妙なカバーリングで完成。金本監督を「きょう一番のファインプレー」とうならせたことは記憶に新しい。地味だが、出番さえあれば、確実に何か仕事をしてみせる。玄人好みの職人タイプだ。

29歳の誕生日だった8月11日のDeNA戦は、西岡の代走から出場し、2打席無安打。16年に3年間の交際を経て結婚した愛妻は横浜スタジアムのスタンドまで足を運んでくれていたが、バットで応えることはできなかった。誕生日プレゼントはTシャツ。「着てみると…かゆかったです」。襟のついているおしゃれなタイプだったそうで、照れ笑いしきり。苦しいときも、いつも支えてくれる-。感謝の思いをプレーに込め、そしてチームを勝利に導いた。

報道陣から囲まれていると同じタクシーに乗り込んでいた福留から「長い、長い! 早くしろ~」と、せっつかれた。「まだこっち(阪神)で認められていない」が口癖だった森越が、その瞬間、どこかホッとしたような顔をみせていた。

「打撃コーチの方々とか、いっぱい、練習を見てくれたので、その方のためにも打ちたかったです」

金本監督は「地道にやっている成果」とうなずく。一度はあきらめかけたプロ野球人生。野球の神様は見てくれていた。 (阿部祐亮)

http://www.sanspo.com/baseball/news/20170821/tig17082105040001-n1.html