阪神・片岡コーチ「(糸井は)クリーンアップを打つ選手やしね。体も元気やね。(秋山は)びっくりしたね。あれは野手でもなかなか見られない打球だった。恐れ入りました」

(セ・リーグ、中日4-10阪神、18回戦、阪神10勝8敗、18日、ナゴヤD)打って投げて、まさに秋山デーだ。山あり谷ありだったが、8年目でしっかり“勲章”をつかんだ。両目はキッとミットを見つめ、足元では試行錯誤を続けながら、プロ初の10勝に到達。しかも初アーチで花を添えた。

「不安でしたが、しっかりと試合に入ることができました。(10勝は)ひとつ、評価できることだと思います」

8月5日のヤクルト戦(京セラ)で右太ももの張りを訴え、三回途中で降板。抹消を経て、13日ぶりの復帰登板だった。一回に3点の援護を受けたが、マウンドが滑り、投球時の足の位置が「バラバラだった」という。それでも、ほんの数センチ、数ミリと誤差を修正しながら持ちこたえた。

六回にはバットで驚かせた。二死二塁。伊藤の初球144キロを豪快に振り抜くと打球は右翼スタンド中段へ。記念すべきプロ初本塁打だ。「たまたまです」と謙遜したが、愛媛・西条高時代は通算48発で“伊予ゴジラ”と呼ばれた男。金本監督も「上段(くらい)まで飛んでいって。糸井が負けじと打っていたけど、秋山の方が(飛距離は)上でしたね」と目を丸くするほど野手顔負けの一撃で試合を決めた。

独身のため留守にすることの多い秋山の自宅。母・みゆきさん(51)は「遠征も多いのでものを作るより、冷蔵庫をきれいにしたりするほうがいいですから」と時間を見つけては愛媛から掃除にきてくれる。母の誕生日には毎年、服などをプレゼントして感謝を表す孝行息子。しかし、この日の活躍こそ何よりの“恩返し”だ。

七回には先頭のゲレーロに左翼線二塁打を浴びたところで、右手親指の爪がはがれた。ユニホームを赤く染め、治療のため一旦ベンチに下がったが、続投してイニングを投げきった。メッセンジャーが右足骨折で離脱、藤浪も再抹消と苦しい投手事情。中12日の登板で緊急降板などできなかった。登板過多の中継ぎ陣も救う7回2失点だ。

「うれしい気持ちもありますけど、ここからが勝負だと思うので。上に行くためにはこれからどんどん勝ち続けたいと思います」

次回は中5日で24日のヤクルト戦(神宮)に向かう見込み。秋山がフル回転で虎投を引っ張る。 (新里公章)

阪神・片岡打撃コーチ「(糸井は)クリーンアップを打つ選手やしね。体も元気やね。(秋山は)びっくりしたね。あれは野手でもなかなか見られない打球だった。恐れ入りました」